microcosmos  4

日々の思索

本村俊弘の旭町日記(No.125)

平成15年9月28日(日)―2003年
   国道16号線を使って東京都八王子市谷野町にある東京富士美術館へ、車で出かけた。『ロバート・キャパ 戦争と子供たち―そして9・11』を鑑賞するためだった。ロバート・キャパの写真を写真集ではなく展覧会として観るのは、初めてであった。写真展は四章に分けて構成されていた。一章は「キャパの映した“戦争と子供たち”」、二章は「キャパを継ぐ写真家―“母の涙と子供たち”を撮る」、三章は「キャパの友人たち、日本の思い出」、四章は「終わりなき旅路」、そしてエピローグが「9月11日ニューヨーク―変化する戦争の世紀」となっていた。写真のほかにキャパが母親に宛てた自筆書簡が、ガラスケースに入れられて展示されていた。他にはキャパの年表が掲示されていた。順路に従って鑑賞した。観終わってから写真展のカタログを2000円で購入した。カタログの中には出品された22人の写真家の紹介文もあった。美術館のロビーでは18分のキャパに関するビデオ映像が流されていて、それも合わせて鑑賞した。今回の展覧会を鑑賞してロバート・キャパという戦争写真家の全体像が、掴めたことが良かった。
   キャパ以外に観た写真家の作品にはユージン・スミスの「楽園への歩み」(撮影場所:アメリカ合衆国/1946年)、コーネル・キャパの「画家グランマ・モーゼス」(撮影場所:アメリカ合衆国・ニューヨーク/1960年)、セバスチャン・サルガドの「干上がった瀬をわたる難民の家族」(撮影場所:マリ/1985年)、沢田教一の「安全への逃避―米軍の爆撃を逃れ、川を渡る母と子」(ピュリッツアー賞受賞作品/撮影場所:ベトナム・クイニョン/1965年)、エルンスト・ハースの「無事に帰郷した戦争捕虜に息子の安否尋ねる母」(撮影場所:オーストリア・ウィーン/1947年)、アンリ・カルティエ=ブレッソンの「ナチの強制収容難民キャンプで告発されるゲシュタポ密告者」(撮影場所:ドイツ・デッサウ/1945年)、ヴェルナー・ビショフの「巨済島の戦争捕虜キャンプで配給をもらう子」(撮影場所:韓国/1951年)、ジェームズ・ナクトウェイの「武装の町に怯えるウガンダの少年」(撮影場所:ウガンダ/1966年)、「崩壊した世界貿易センタービル」・「崩壊現場の消火作業にあたる必死の消防士たち」(撮影場所:ニューヨーク/2001年9月11日)があった。これらの作品の1枚1枚に物語が感じられ、今、自分もその場に居合わせるような感覚が迫ってきた。