microcosmos  4

日々の思索

本村俊弘の旭町日記(No.123)

平成15年9月20日(土)―2003年
   半日の仕事を終えて恵比寿にある東京都写真美術館へ行く。目的はドキュメンタリー映画『戦場のフォトグラファー』を観るためである。午後1時半頃に会場に着き、当日券を購入する。1800円だった。上映時間は午後2時40分からだったので隣にある高層ビルの最上階(39階)へ行き、レストラン「火」で昼食を摂る。800円の日替わり定食を注文する。鯖の塩焼きであった。午後2時35分に会場に戻ると既に開場していた。東京都写真美術館には何度か写真展を観に来ていたが、映画を見るのは初めてであった。ドキュメンタリー映画『戦場のフォトグラファー』はスイスのドキュメンタリー映像作家でプロデューサーでもあるクリスチャン・フライの作品である。内容はアメリカ人の戦争報道写真家であるジェームズ・ナクトウェイ氏の人となりと仕事を撮影したものであった。私は今回はじめてジェームズ・ナクトウェイという人物を知った。素晴らしいドキュメンタリー映画であった。観に来た甲斐があった。どうして今までジェームズ・ナクトウェイ氏の仕事に気付かなかったのか不思議に思えた。しかし今までに彼が撮影した写真はどこかで観たことがあっただろうとも思った。
   クリスチャン・フライは二年間に亘ってナクトウェイと共に紛争地であるパレスチナコソボそれにインドネシアを巡り、ナクトウェイの仕事を明らかにする。ナクトウェイの日本製の写真機には小型カメラが取り付けられ、ナクトウェイと同じ目線で観客は彼が撮影する被写体を観ることが出来るようになっている。そのために臨場感が強烈なものになっている。映画を観ながら紛争地の過酷な現実を知り、涙が出るのを止められなかった。ナクトウェイの修道僧にも似たストイックな姿勢と生活に共感を覚えた。ナクトウェイが取材した国は北アイルランド・ロシア・ルーマニアコソボチェチェン・韓国・レバノンイスラエル・ウェストバンクとガザ地区アフガニスタン・インド・タイ・フィリピン・スーダンソマリアスリランカルワンダインドネシア南アフリカに及んでいる。彼はロバート・キャパ賞を五回、ワールド・プレス・フォト賞を二回、年間最優秀雑誌カメラマン賞を六回も受賞している。他にも多数の受賞歴のある戦場のカメラマンである。今後、ジェームズ・ナクトウェイ氏の仕事に注目していきたいと思う。
   映画を観終わってから三階で開催されていた、上田義彦写真展『PHOTOGRAPHS』を鑑賞した。内容はテーマ別に「建築」・「風景」・「庭」(35ミリフィルムで撮影)・「ポルトレ」(モノクレームのポートレート集)・「Flowers」(1995-97)・「Blue Blue」(2000)・「Amagatu」(舞踏家・天児牛大)・「」「Quinalt」(1990-91)・「3 Women:Contemporary Nude」(1994)他だった。