microcosmos  4

日々の思索

本村俊弘の旭町日記(72)

平成15年7月9日(水)―2003年
   午後7時30分から午後8時までNHKの番組『クローズアップ現代―祖国への帰還・亡命イラク人』を観る。日本では経験することの出来ない経験をクルド人はしている。イラン・イラク戦争が始まりイランと同じシーア派に属するバグダッドに居住するクルド人は、フセイン政権下でイランに追放された。今回のフセイン政権の崩壊でクルド人はイランからイラクバグダッドへ帰還した。帰還しても元の家には関係ない見知らぬ人たちが居住していて、住む家もままならない状況である。裁判所に訴えるが、権利を回復する法律がないということで門前払いされる。混乱するバグダッドでは権利の回復は当分望むべくもない。ロンドンに亡命しているイラク人の男性はバグダッドへ一時帰国するが、一族18人はフセイン政権下で20年前に集団処刑されていた。墓守の年老いた男の証言でわかった。これからフセインがやった数々の悪事が暴露されてくるのではないかとテレビを見ながら思った。現代史の一断面である。目を離してはいけない。イラク人のことは日本人のことである。