microcosmos  4

日々の思索

本村俊弘の旭町日記(75)

平成15年7月12日(土)― 2003年
   午後4時から午後5時までナショナル・ジオグラフィックの番組『最年少単独無寄港世界一周航海』を観る。少年の名前はJesse Martin(ジェス・マーティン)。メルボルン在住のオーストラリア人である。航海を完了した年月日は1999年10月31日。ジェス・マーティン少年はヨットにライオンハートという名前をつけて1人、荒海に向けて世界一周の航海に出た。若干17歳の少年である。この番組は少年自身が撮影したビデオをもとに作られたドキュメンタリーであった。数々の嵐に遭遇して悪戦苦闘する映像が生々しく迫力を持って僕の眼に飛び込んできた。ホーン岬の嵐は到底自分だったら耐えられないと実感できるものだった。少年の両親が高額な旅行費用を工面してアゾレス諸島を航海する息子の少年に会いに行く映像があって、40分ほど船とヨット間で会話が交わされるが、時間切れとなり家族の乗った船と少年のヨットは離れていった。母親は最愛の息子が1人大海に出て行く姿を見て大粒の涙を何度も手で拭っていた。自分も涙が出て仕方がなかった。
   NHK教育番組『「宇宙」地球はどうして生まれた?』を午後8時から午後8時45分まで観た。惑星どうしの引力で軌道が変わり、ある惑星は太陽系のような体制から外れていく。地球のような生物が存在する惑星が在るためには、数々の奇跡的な条件が重なって誕生したということを番組では説明していた。解説は毛利衛氏で聞き役は中山エミリ氏だった。アメリカ・ワシントン在住でカーネギー研究所研究員のある博士は、木星土星がなければ地球には今以上に隕石が衝突していて、人類が誕生するほどの生物進化はなかっただろうと述べていた。宇宙の果てから太陽系にやってくる隕石や彗星は、木星土星の引力により軌道が変わったり衝突したりして、地球に衝突することを防いでいるそうである。それがなければ6万年に1回の割合で地球に衝突していて生物に甚大な被害を与え、今のような進化は成立していなかったと研究員の博士は述べていた。番組ではそのことをコンピューターグラフィックでシュミレーション化して見せていた。実際に彗星が1991年に木星へ大衝突している電波望遠鏡で捉えた映像もあった。この番組はシリーズもので、今日のは2回目のものであった。
   シネフィル・イマジカの番組で、午後9時から午後10時までスペインのドキュメンタリー作品『フラメンコ』を鑑賞した。監督はスペイン映画界の重鎮であるカルロス・アウラ。出演者はギタリストのパコ・デ・ルシア、フラメンコダンサーのホアキン・コルテスその他。サウラ監督は華美な装飾や意図的な演出を一切せず、フラメンコの迫力と魅力を素で直接的に撮影していた。