microcosmos  4

日々の思索

本村俊弘の旭町日記(55)

平成15年6月7日(土)―2003年
   午前中の仕事を終えて池袋にある新文芸座へ行き、山田洋次監督作品の『たそがれ清兵衛』を観た。午後1時50分からの上映であったが、館内はほぼ満席であった。見終わってからの感想は久しぶりによく考えられた、隙のない緊張感のある日本映画を味わうことが出来たというものだった。この映画は『男はつらいよ』や『学校』などを手がけてきた山田洋次監督の初の時代劇作品であった。観ていて黒澤明監督の『七人の侍』を意識しているように感じられた。山田洋次監督は『七人の侍』を意識していたに違いない。そしてそれを越える作品を作りたかったと思う。その意識は『たそがれ清兵衛』を作るエネルギーの一つになったのではないだろうか。そう思えてならない。原作は藤沢周平の三篇の短編小説を元にしている。キャストは井口清兵衛役に真田広之、飯沼朋江役に宮沢りえ、余吾善右衛門役に舞踏家の田中泯、他に丹波哲郎、小林念侍、大杉漣、ナレーターの岸恵子、子役に伊藤未希と橋口恵莉奈など。アイドルタレントだった宮沢りえの演技が向上していた。真田広之の演技は素晴らしく、田中泯には存在感があった。