microcosmos  4

日々の思索

本村俊弘の旭町日記(43)

平成15年5月22日(木)―2003年
   半日の仕事を終えて、地下鉄有楽町線半蔵門線を乗り継いで、江東区三好四丁目にある東京都現代美術館へ行った。彫刻の『船越桂展』と抽象画の『サム・フランシス展』を鑑賞した。『船越桂展』は平日にも拘らず、多数の女性が鑑賞していた。『船越桂展』で印象に残った作品は1979年〜1980年制作の「妻の肖像」と2003年制作の「夜は夜に」であった。「妻の肖像」は入り口にあって最初に目にする作品で、「夜は夜に」は出口で最後に目にする作品であった。作品を鑑賞しながら舟越桂氏(1951年盛岡市生まれ)のご尊父舟越保武氏(1912〜2002岩手県生まれ)から生前、詩集を贈ったお礼にエッセイ集を頂いた記憶が蘇った。
以前より気になっていたサム・フランシス氏(1923〜1994カリフォルニア州生まれ)の作品をこれだけ鑑賞したのは初めてであった。出口近くにあった作品三点が特に印象に残った。
美術館で七年ぶりに画家の池田龍雄氏(1928年生まれ)と出会った。美術館を一緒に出て地下鉄出入り口近くの喫茶店で40分ほどお話しをした。小説家の島尾敏雄さんのこと、写真家の東松照明さんのこと、画家の日影眩さんのこと、池田さんの故郷である佐賀県伊万里市のこと、特攻隊の訓練のことなどが話題になった。池田氏は元特攻隊員であった。氏の作品は多くの公立美術館に所蔵されている。東京都現代美術館でも数点が所蔵されている。